ネコが甘い生活をおくれない理由




【 P R 】



[ 2005年07月28日 16時24分 ]

[ワシントン 27日 ロイター] ネコはアイスクリームが好きかもしれないが、ネコが引きつけられているのは砂糖の味ではない。というのも、ネコは遺伝学的に甘味を味わうことが出来ないからだ。25日、研究者の発表で明らかになった。

英米共同研究によると、家ネコもその他の大型のネコ科の動物も、甘味に対する受容体(レセプター)の遺伝子が他の哺乳類とは若干、異なっているという。

ネコを飼っている人なら、ネコには一匹一匹に好みがあり、一般に甘いお菓子は鼻であしらうが、バターやゼラチンなどの食品成分には飛びつくのを知っている。

研究を主導したフィラデルフィアの非営利研究機関「モーネル化学感覚センター」の分子遺伝子学者、シャー・リ氏は「この現象を説明する仮説は、ネコは砂糖や甘味料など甘い味がする化合物を感知できないということです」と説明した。

「従って、注目すべき点は、甘味受容体に関連する遺伝子暗号です」

哺乳類はこの受容体を通じて甘味を感知するが、受容体は、味蕾細胞におけるT1Rと呼ばれる分子による扉のようなものだ。T1Rには、T1R2、T1R3と呼ばれる二つのサブユニットがある。両方とも独立した遺伝子によってコーディングされている。

「パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス・ジェネティクス」というオンライン・ジャーナルの記事で、リ氏の研究チームは家ネコ、トラ、チーターにおけるT1R2タンパク質の遺伝子コーディングに異なった点を発見した。

ジャーナルには「甘味に対する味盲をのぞけば、ネコの味覚は普通である」と書かれている。

研究に参加したコーネル大学の生物物理学者、ジョセフ・ブランド氏は「非機能的な甘味受容体は、なぜネコが甘味に反応しないのかを分子レベルでの説明しています」とコメント。

「このエレガントな説明をさらに深め、分子レベルでの変化が、ネコ科の動物の肉食行動の進化に与えた重要性を思索することも可能です」とブランド氏。

「今でも不明なのはどっちが先かということです。肉食行動が先か、T1R2タンパク質の喪失が先か?遺伝子に関して言えば、使えなければ捨てるという事例なのか?」

クマ、イヌ、アライグマなど肉食動物の多くが甘味を好む。

「冗談でよくこう言うんですよ。ネコが不機嫌でも仕方ないよな、エサを狩らなきゃならない上に、甘いデザートも味わえないんだからって」とブランド氏は笑った。