『歌い弾きの達人たち』 スティービー・ワンダー

と書きつつも、この人を歌い弾きの達人といっていいんだろうか?
もうジャンルとかカテゴリー分けがが意味をなさないくらい凄い人ですね。

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キャッチフレーズがつくミュージシャンは結構存在する。
例えばジャズ界で『帝王』といえばマイルス・デイビスを指すし、同じ『帝王』
でもソウルではジェームズ・ブラウンだろう。
ブルーズギターの神様というと、やはりB・B・キングということになるだろ
うし、ロックのジャンルでギターの神様というと、異論はあるだろうが一般的
にはジミヘンかクラプトンということで落ち着くと思う。

じゃ、もっともっとでっかいカテゴリーで、音楽の神様は??
というと自分はいつもこの人、スティービー・ワンダーが浮かんでくる。

あの歌、あの声、あのリズム感、あれだけの音楽的才能と圧倒的存在感をかも
し出すミュージシャンが他にいるだろうか??

そして、歌い弾きという意味では主たる演奏楽器はキーボードなのだが、この
人の凄いとこは何の楽器を演奏していてもスティービーの声がしてくるところ
である。キーボード、ハーモニカ、ドラムス、トライアングルの音ひとつまで
全部「すてぃ〜び〜〜わんだ〜〜」って聴こえるのだ。

もう少し詳しく説明すると、スティービーにとって楽器の種類というのは、あ
まり関係ないんだろうと思う。要は頭の中にある音をアウトプットする手段と
して様々な楽器を使っているだけのように思える。

それにしてもあんな風に様々な楽器を全て自分の音として表現できるだろうか?
マルチプレイヤーと呼ばれるミュージシャンはたくさんいるけれど、こんな人
絶対他にはいない。
あの人は絶対に音楽やるためにこの世に生を受けた音楽神に間違いない!!

なんて思っていたら、やっぱりかのクインシー・ジョーンズもこんなことを言
っていた。
「あるかないかと言われたら、彼にはそれがあるんだ。何だかわからないが神
と関わる何かだ。」
「素晴らしい媒体なんだ。喜んで媒体になるものを高次の力は歓迎する。」

つまりスティービーは神から何かを授かるための素晴らしい媒体である、と言
うのである。

ともすればうさん臭く感じられるこんな言葉も、ことスティービー・ワンダー
に関してはさもありなんと思えるから不思議である。

特にどんな形であれ音楽をやっている人ならば、なおさらスティービーの凄さ
はご理解いただけると思う。

もしバンドやってる若い人で未だスティービー・ワンダーを聞いたことがない
という人は、とにかく聞いてみて欲しい。

絶対に何か得るものがあるはずである。

とりあえず初心者にお薦めはベストだが、たくさん出ているので選択が難しい。
このCDの選曲はまあ妥当ではないだろうか?

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ちなみに上記のクインシーの言葉は1976年発表の『キー・オブ・ライフ』
の製作過程を20年ぶりに振り返ったドキュメンタリーDVD『メイキング・
オブ・キー・オブ・ライフ』に収録されている。こちらは演奏するスティー
ーも収録されているのでぜひともご覧いただきたい。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007E8GN/with90d-22